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Clinicafe ♯2

クリニック+カフェ 医療以外もつらつらと書きます‥‥

夢の大発見と産学連携、そして難病

 目覚めたら問題が解決していた!誰しも夢見ますが、現実は厳しく、まさに前回引用した通り「The cures we want aren’t going to fall from the sky. We have to get ladders and climb up and get them.」夢のような大発見は降って湧いては来ないものです。桃栗3年柿8年、梅は酸い酸い13年(18年との説も!)ということで、昨夜の梅の写真を・・・・

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 最近しばしば聞かれる「産学連携」、ないしは「産学官連携」。私はもっと国産の医療機器を作ってほしいと(この話題はまた後日)常々話しているが、一方で、短期間での成果を研究に期待し過ぎる危険性も指摘したい。

 米国ではBayh-Dole 法(1980年)により、政府の資金援助を受けた研究成果の知的財産権が大学などにも帰属するようになった。成果を臨床応用してゆくために、大学はこの権利(パテント)を商品化して販売する力のある企業へ供与した結果、産学連携が発展した反面、産業化し易い分野に研究志向が偏る弊害もあったと聞く。発症頻度が稀な「難病」は、治療対象者が少ない=需要が低い=商業的価値がないとみなされる一面があったのだ。

 整形外科の難病には骨・軟部腫瘍、骨系統疾患が相当するが、日本整形外科学会(JOA )ではこれらの分野の研究も積極的に支援してきた。1970年代より開始された全国骨・軟部腫瘍登録は、稀少がんとして世界でも類を見ないデータとなり、またJOA による学術集会開催は50回近くにのぼる。骨系統疾患については平成元年に研究会が発足したが、途中からJOAが 主催しより多くの会員が知るところとなった。骨・軟部腫瘍、骨系統疾患ともに、基礎医学の各分野と連携し研究が進んできた。

 基礎医学といえば、産学官連携施策における研究助成のあり方に対し、2013年6月に日本生化学会、日本分子生物学会、日本免疫学会などライフサイエンス関連7学会は、「トップダウン型戦略とともに、アカデミアの自由な発想を鼓舞するボトムアップ型研究支援をより一層拡充」することが日本の未来に不可欠との緊急声明を発表している。これに関し具体例を紹介する。骨粗鬆症発症前に寿命を迎え(平均余命は50歳足らず)ていた1930年代は、国内の主たる死因は結核、肺炎であり、世界でも第二次大戦後も感染症制御が注目されていた。そうした中、先天性代謝疾患、骨代謝の基礎に従事する研究者が現われボトムアップ的に発展した結果、現在の高齢化社会に対応する骨粗鬆症治療へつながった。ある時代には産業的に地味な色合いでも、数十年を経て最先端になることがあるのだ。
 基礎研究がスピーディに臨床応用されるのは大切だが、学会が自律性を遵守して広い分野の研究をリードすることも必要である。また、幾ばくか時間がかかっても産業として成り立つ分野と、産業化しにくい難病研究・対策とでは、助成の金額や在り方をかえてゆくべき(「官」としてはむしろ後者に重点化を)ではないだろうか。